概要

ハイブリッドソーラーハウスは、太陽エネルギーを床に蓄熱して24時間の床暖房をする住宅システムです。
安定した温度・湿度によって、カビやダニのいない健康な住まいを実現。持続可能な、人にも環境にも優しい住生活基盤をつくります。
更に、リサイクル古紙の自然素材セルロース断熱材や太陽熱温水器ソーラーシステムなどソーラー給湯システム、快適な住環境の低温温水式シルクライン床暖房など、エコハウスをさらに進めるための周辺サポートも行い、人と地球に共存に貢献します。

ハイブリッドソーラーハウスのしくみ

  1. 太陽熱コレクター(屋根一体型)
    • 1枚の太陽熱コレクターの大きさは幅91センチ×長さ2mで、瓦の上に置くのではなく屋根下地に直接取り付ける屋根一体型として開発されたものです。従来の太陽熱温水器のように針金で縛り付けたり、配管が露出することもなく、すっきりとした外観を構成します。
      外部はステンレスと強化ガラスで覆われ、防水処理により雨漏りの心配をなくしています。太陽熱を受ける集熱部分は、選択吸収膜処理(太陽熱で熱くなった際に熱放射を押さえて熱変換効率を高める技術)を施したアルミニウム製の集熱フィンと、集熱フィンに組み込まれた直径7mmの銅パイプで構成されます。この中を少量の熱媒液(不凍液)を循環させて床下の蓄熱層や貯湯タンクへ太陽熱を運び、蓄えさせます。常時流れる熱媒液の量は1枚あたり約1リットルとわずかなため、全体の重量でもスレート瓦の7割程度という軽さを実現し、屋根構造への負担を解消しています。
  2. 蓄熱コンクリート
    • 熱媒液が運ぶ太陽熱をしっかりと蓄熱するため、床下に15センチから20センチのコンクリート層を構築し、つなぎ目なしのシームレス給熱パイプを中心部に埋設します。給熱パイプはポリブデン管を使用します。ヨーロッパで約40年前にコンクリートに埋設する床暖房用の樹脂性パイプとして開発され、全世界で信頼を得て使用されています。その特性は、自在に曲げることのできる柔軟性を持ちながら荷重や振動に強く、すば抜けた耐久性を持つことです。
      コンクリート蓄熱層は、住宅金融公庫に定められた土間床構造の仕様に準拠したもので、床下からの冷気や湿気の進入を防ぎます。土間床にするだけでも通常の床組に比べて室温が2度暖かいという実測データがあり、ソーラーハウスでなくてもお勧めしたい構造です。
  3. 補助熱源装置
    • 天候の悪い日が続くと蓄熱コンクリートは冷たくなり、次の日照があってもなかなか暖まらないだけでなく、建物そのものも冷やしてしまいます。そこで、蓄熱温度の下限を設定し、この温度を下回った時に補助熱源装置(灯油もしくはガスボイラー、ヒートポンプなど)を自動的に運転させ、快適な暖房に必要な最低限度の蓄熱温度を維持します。
  4. 貯湯タンク
    • 十分な暖房エネルギーを蓄えた後や、暖房の不要なときには給湯運転を行い、しっかりと断熱された370リットル容量を持つ「貯湯タンク」の水をお湯にします。熱媒液はタンクの中の熱交換パイプを循環して暖めますから、水と混じり合うことはありません。タンクはステンレス製で水質の劣化はなく、優れた長期耐久性があります。
  5. ポンプユニット
    • ポンプユニットの中ではマイコンが暖房温度やお湯の温度を監視し、最適運転を制御します。
      コントローラーで指示した温度になるまで蓄熱温度を上げ、設定温度に達すると給湯運転に切り替えます。
  6. コントロールパネル
    • コントロールパネルで設定された温度をもとに、蓄熱運転、給湯運転、補助暖房運転の切り替えをコンピュータが制御します。

寒くなったら

暖房期に陽射しがあるとき、屋根のコネクターで暖まった不凍液は床下のパイプを循環します。こうして昼間の太陽を夜から明朝まで床暖房のために蓄熱しておきます。

天気の悪い日が続いたら

陽射しがないときは、補助ボイラーの助けをかりて床の蓄熱温度を確保します。自動運転なので操作はいりません。

暖かくなったら

屋根で暖められた不凍液は、床を循環した後も残り熱を持っています。この熱を持った不凍液は、再び循環し、給湯にも利用されます。こうしてほとんどの時期は、暖房をしながらお湯をつくる運転が行われます。

特に寒さが厳しい時以外は

暖房期に陽射しがあるとき、屋根のコネクターで暖まった不凍液は床下のパイプを循環します。こうして昼間の太陽を夜から明朝まで床暖房のために蓄熱しておきます。

Q&A

冬の日光で暖房出来ますか?

太陽熱コレクターは、太陽からのふく射熱を受け止めてエネルギーを得ています。したがって影響するのは、いかに空気が青く澄んでいるかということです。
日本列島の内陸部や太平洋側の地域では、冬季は快晴が多く、澄んだ青空が広がります。世界的にみても太陽熱暖房に適した地域だといえます。
2階も暖かくなりますか?

コンクリート蓄熱槽からふく射熱により建物全体が暖められることで2階も暖かくなります。上下階の温度差をできるだけなくすためには、十分な断熱工事を施すことと、熱損失の少ない総2階構造、そしてリビングに吹き抜けのある間取りがベストです。
天候が悪く蓄熱暖房の下限レベルが続く時などは、補助暖房(エアコンなど)を使用されている場合もあります。
太陽熱コレクターのガラスの汚れが心配ですが?

雨で汚れが流れますので、通常の天窓と同じく日常的なクリーニングの必要はありません。
しかしながら新設後の美しさを保つ事は不可能ですから、あらかじめ汚れによる日射取得量の低下を5%程度見込んであります。
雪で太陽熱コレクターが覆われたときはどうしますか?

ハイブリッドソーラーハウスの基本設計は冬の日差しを考慮して屋根の勾配がきつくなっています。したがって、コレクター表面のガラス部分に雪が大量に積もる前にすべり落ちてしますのが一般的です。
それでも雪が集熱ガラス面を覆った場合は、熱媒液を補助熱源装置で温め、屋根面への運転を行うくとで強制的に融雪させることが可能です。
床下の配管は水垢などで詰まったりしませんか?

  • 水垢については、鉄製の水道管などでサビが発生して起きる現象で、樹脂製のパイプは科学的に発生の可能性はありません。
  • また、熱媒液は密封された回路を巡回するだけですから、外部から異物が入る恐れがなく、目詰まりの心配もありません。
どのようなメリットがありますか?

  • 遠赤外線効果が体の芯から暖め血行を促進しますの冷え性の方にお勧めです。
  • 穏やかな暖房感が心地良い熟睡を誘いストレスを解消に。
  • 床暖房だから空気を汚しませんのでお子様の喘息やアトピー症状の方に。
  • トイレも暖かい家一軒まるごと暖房で安心です。特にお年寄りのヒートショック防止に。
  • 自然の恵みで暮らす実感が気持ちに反映し、ご家族みんなが優しく穏やかに。
  • 床暖房だから大きな吹抜けの設計も可能にし、開放感いっぱいの住生活を満喫いただけます。
  • 結露の発生を抑え、木材の腐敗を防ぐごとにより、建物の耐久性が向上します。

施工風景